毎年、多くのフォークリフト労災事故が報告されています。
この記事では、フォークリフト事故で労災保険を利用方法から、損害賠償請求の方法まで紹介します。
フォークリフト事故で労災保険を利用する方法
フォークリフト事故でケガをした、後遺症が残ったという場合は、労災保険を申請し給付を受けてください。
労災保険は従業員を守るための制度です。
まずは会社の労災に関する担当者に報告しましょう。
自身で申請を進めるのであれば、労働基準監督署の窓口に相談してください。
フォークリフト労災事故の種類
労災事故の種類は次の2つです。
- 業務災害
- 通勤災害
フォークリフト労災事故の種類は業務中に発生するため、業務災害になります。
フォークリフト労災事故の事例
フォークリフト労災事故には、運転者が事故にあうケースと運転者以外の第三者が事故にあうケースがあります。
運転者は転倒事故や転落事故、第三者はまきこみ事故やはさまれ事故の発生が多いです。
フォークリフト事故のケガを労災保険で治療
労災保険を利用する際は、利用する医療機関により申請方法が異なります。
労災病院・労災保険指定医療機関で治療
労災病院・労災保険指定医療機関以外で治療
労災保険給付の種類
労働監督基準書に労災申請をし認定されれば、災害の状況に応じた給付を受けることができます。
給付の種類は以下の8つです。
- 療養給付(治療費、入院費、通院交通費)
- 休業給付(休業分賃金)
- 障害給付(後遺障害)
- 遺族給付(労働者の死亡)
- 葬祭給付(労働者の葬儀)
- 傷病給付(長期療養、負傷の未完治)
- 介護給付(労働者の介護)
- 二次健康診断等給付(脳や心疾患の二次検査)
フォークリフト事故の責任
会社の敷地内で起きたフォークリフト事故は、刑事責任と民事責任を問われます。
業務上必要な注意を怠り、人を死傷させた者は5年以下の懲役か禁錮、または100万円以下の罰金に処することが刑法211条で定められています。
民事では、精神的苦痛に対する慰謝料を請求される可能性があります。
警察への連絡
軽度のフォークリフト事故であれば会社内で解決します。
しかし、負傷者が発生し労災保険を使用する事故は、労働監督基準署への届け出が必要です。
労働監督基準署は安全衛生法の違反がないか、確認します。
重大災害であればあわせて、警察への届け出も必要になります。
労災における重大災害とは、1度に3人以上の労働者が死傷した事故です。
警察は事業者にヒアリングを実施し、業務上過失致死傷に該当するか判断します。
フォークリフト事故の慰謝料
フォークリフト事故の慰謝料は、労災保険からは給付されません。
慰謝料は会社や第三者に対して損害賠償請求を行う必要があります。
会社に損害賠償請求を行うには、安全配慮義務違反を立証する必要があります。
第三者への損害賠償請求は故意や過失を原因とした場合です。
フォークリフト事故の慰謝料の種類
フォークリフト事故でケガをした場合、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。
慰謝料の種類は下記の3つです。
- 入通院慰謝料(入院、通院に対する精神的苦痛)
- 後遺障害慰謝料(後遺障害に対する精神的苦痛)
- 死亡慰謝料(死亡に対する精神的苦痛)
フォークリフト事故判例
フォークリフトに足をひかれた
ご依頼者様(30代女性)が、工場内で作業中に、別の作業員がフォークリフトを誤ってバック走行してしまい、ご依頼者様の左足がフォークリフトに挟まれました。
ご依頼者様は、左足指切断、左足末節骨骨折、左足根骨脱臼骨折等の負傷をして、「1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの」として障害等級13級の9が、「1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの」として障害等級11級の8が、足首の可動域について「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」として障害等級1級の10が認定され、併合で9級が認定されました。
フォークリフトにひかれた
人vsフォークリフトの事故。
工場内で荷物を運ぶために台車を押していた被害者が、後方から進行してきたフォークリフトにひかれて事故が起こりました。
工場(私有地)内での事故でしたが、フォークリフトの運転手の会社が任意保険に加入していたため、治療費の支払い等の事故対応を受ける事ができました。治療終了後、フォークリフトの運転手の会社から被害者の方に示談金額の提案があり、それが妥当かどうか専門家の意見を聞きたいということで被害者の方から当事務所にお問い合わせを頂き、当事務所で相談となりました。
確認したところ、フォークリフトの運転手の会社から提示された示談金額があまりにも低いことが分かり、増額の交渉を任せたい、ということで当事務所にご依頼されました。示談交渉を行った結果、裁判所の基準で慰謝料を算定することが認められたほか、後遺障害の内容に見合った後遺障害逸失利益の発生を認めさせることができ、ご依頼前に提示されていた示談金額から合計で1700万円以上増額させることが出来ました。
まとめ
フォークリフト事故に巻き込まれてしまったら、労災保険を申請し給付を受けてください。
会社に責任がある場合は慰謝料を損害賠償請求します。
損害賠償請求は弁護士に相談して、対応方法を検討しましょう。
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