フォークリフト作業は倉庫内やトラックヤードなど、限られたスペースで行うため旋回する場面が多いです。
作業の効率化や事故防止のためには、旋回に必要な通路幅を確保することも求められます。
この記事では、フォークリフトの旋回のコツと必要な通路幅の一例を紹介します。
旋回作業のコツを理解し、通路のレイアウトを見直せば安全性や作業性の向上につながります。
最適な通路幅を設定しスペースを有効に活用しましょう。
フォークリフト旋回3つのコツ
フォークリフトの旋回のコツを、ハンドルを切り始めてからまっすぐに戻すまで3つの項目に分けて解説していきます。
ハンドルを切るタイミング
前進走行のフォークリフトでハンドルを切り始めるタイミングは乗用車と比べると遅くなります。
なぜならフォークリフトは、ハンドルを回すと後輪が動くからです。
これは乗用車とは逆のしくみになります。
フォークリフトはハンドルを切っても前輪は動かないので、前輪が曲がりたいポイントに到達してからハンドルを切り始めると小回りで旋回できるのです。
爪や荷物より前輪の位置を基準にハンドルを切ると上手に旋回できます。
バック走行の旋回も同様です。
ハンドルを切り過ぎない
前進走行でフォークリフトの曲がるタイミングは乗用車と比べて遅めなので、操作に慣れないうちはハンドルを多く回しがちになります。
ハンドルを切り過ぎると必要以上に内側に曲がるので危険です。
スピードが出ていると急旋回になり事故の原因にもなります。
安全のためにも旋回時はスピードをしっかり落としてゆっくりとハンドルを回しましょう。
速度が落ちていれば様子をみながらゆっくりとハンドルを回せるので、微調整がしやすいです。
ハンドルをまっすぐに戻す
旋回が終わり車体が正面を向いたら、ハンドルはまっすぐに戻しましょう。
ハンドルをまっすぐに戻っていないのに次の動作をすると、予想外の動きをして衝突したり、荷物を破損させたりとリスクが高まります。
ハンドルをまっすぐに戻すには操作の慣れも必要です。
慣れるまではタイヤの角度を目視で確認するのがおすすめです。目視で確認する際はフォークリフトが停止した状態で確認しましょう。
フォークリフトの旋回軌道
フォークリフトは後輪操舵のため前輪を軸にして車体後方は円のような軌道で動きます。
フォークリフトは後輪操舵のため、前タイヤを軸にフォークリフト車体後方が円を描く動きをします。
フォークリフトの旋回に必要な通路幅の基準
フォークリフトが安全に旋回するために必要なのは操作のコツだけではありません。
旋回に必要な作業スペースや通路の確保も必要となります。
フォークリフトの旋回に必要な通路幅を決めるのには下記の3つの基準値を参考にします。
- 最小直角通路幅
- 最小直角積付通路幅
- 最小旋回半径
3つの基準値はフォークリフトの小回りを示す値で機種によって異なります。メーカーのカタログや説明書などで確認可能です。
最小直角通路幅
フォークリフトが直角に旋回する場合に必要な、最小の道幅が最小直角通路幅です。
旋回前の通路幅と旋回後の通路幅が同じという条件で算出され小回り性を示す値になります。
最小直角通路幅は荷物を積載していないことが前提です。
通路幅をレイアウトする際は、最小直角通路幅より広く設定する必要があります。
荷物やパレットのサイズを考慮して余裕のある通路幅をレイアウトしましょう。
下記の表はトヨタフォークリフトの最小直角通路幅の一例です。
最大荷重 | 1.0t | 1.5t | 2.0t |
最小直角通路幅 | 1580㎜ | 1680㎜ | 1780㎜ |
例えば最小直角通路幅が1790㎜であれば、最低でも2090㎜~2290㎜に設定します。
300~500㎜は通路幅に余裕を持たせないと通行はできても作業性は悪くなるので注意が必要です。
最小直角積付通路幅
最小直角積付通路幅はフォークリフトが荷物を積載した状態で直角に旋回し、荷物を出し入れできる通路幅です。
下記の表はトヨタフォークリフトのカタログに記載されている直角積付通路幅をまとめたものになります。
1100㎜×1100㎜のパレット積載時で200㎜のクリアランスを設けて作業した値です。
最大荷重 | 1.0t | 1.5t | 2.0t |
最小直角積付通路幅 | 3130㎜ | 3265㎜ | 3440㎜ |
実際の積付の通路幅は300㎜~500㎜は余裕を持たせた方が作業性は向上するでしょう。
フォークリフト最小旋回半径
最小旋回半径とはフォークリフトのハンドルを全部切り、徐行で車体最後尾が描く円の軌道の半径です。
前タイヤの中心から車体の最後尾までの距離となり、最小旋回半径が短いほど小回りができます。
下記の表を見てわかるように車体が大きくなるほど最小旋回半径は大きくなります。
最大荷重 | 1.0t | 1.5t | 2.0t |
最小旋回半径 | 1385㎜ | 1515㎜ | 1675㎜ |
法律
屋内の通路について労働安全衛生規則には下記の記載があります。
事業者は、屋内に設ける通路については、次に定めるところによらなければならない。
一 用途に応じた幅を有すること。
二 通路面は、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持すること。
三 通路面から高さ一・八メートル以内に障害物を置かないこと。
必要な通路幅はフォークリフトの車種や扱う荷物により変わります。
用途に応じた通路幅を設定することが明記されています。
また、路面状況や1.8mの高さ制限の安全面についての記述があります。
計算方法
実用的な直角積付通路幅は計算で導き出すことも可能です。
計算式、計算に必要な値は以下のとおりです。
As | 実用的な直角積付通路幅 |
A | 直角積付通路幅 |
Lp | パレットの長さ |
x | 前輪中心からフォーク前面までの長さ |
Wp | パレットの幅 |
C | 前後の間隔 |
R | 最小旋回半径 |
まとめ
フォークリフト旋回のコツは、フォークリフトの前輪が曲がり角に到達したタイミングでゆっくりと切り始め、車体が正面を向いたらハンドルをまっすぐに戻すことです。
旋回時は速度を落とすことで動作の正確さや安全性につながります。
また、フォークリフトの旋回には適切な通路幅も必要です。
通路幅はフォークリフトの機種や扱う荷物の大きさにより変わります。
通路幅には余裕を持たせることが大切です。
通路幅を狭く設定して無理な作業を行うと、重篤な災害を引き起こしかねません。
適切な通路幅を設定し、作業性の向上や事故防止に努めましょう。
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