フォークリフトは、工場や倉庫内であれば免許が無くても運転できると誤解している方も多いのではないでしょうか。
しかし、この認識は大きな誤りです。
敷地内であっても無免許でフォークリフトを運転することは法律で禁止されています。
発覚した場合には「知らなかった」では済まされず、運転者はもちろん、黙認していた事業者にも罰則が科せられる可能性があります。
この記事では、フォークリフトを無免許で運転させた場合のリスクや罰則について詳しく解説します。
また、免許が不要なフォークリフトに似た機器についても紹介していきます。
運転者に必要に応じた資格取得を促しましょう。
フォークリフトを無免許で乗らせた会社はどうなる
会社が無免許運転の強要や黙認をしていた場合、会社の責任が追及され、訴訟に発展したケースがあります。
また、無資格者が勝手に運転し事故を起こしても、会社の管理不足を問われます。
フォークリフトの資格要件は安全衛生法で定められているため、会社は法令を遵守する必要があります。
無免許運転は違法行為です。
発覚したときは、運転者と事業者の両方が罰則を科せられることになります。
安全衛生法では罰則について下記のように示されています。
第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第二十条から第二十五条まで、第二十五条の二第一項、第三十条の三第一項若しくは第四項、第三十一条第一項、第三十一条の二、第三十三条第一項若しくは第二項、第三十四条、第三十五条、第三十八条第一項、第四十条第一項、第四十二条、第四十三条、第四十四条第六項、第四十四条の二第七項、第五十六条第三項若しくは第四項、第五十七条の四第五項、第五十七条の五第五項、第五十九条第三項、第六十一条第一項、第六十五条第一項、第六十五条の四、第六十八条、第八十九条第五項(第八十九条の二第二項において準用する場合を含む。)、第九十七条第二項、第百五条又は第百八条の二第四項の規定に違反した者
引用元:厚生労働省
運転者だけでなく雇用者にも罰則がある
- 安衛法第59条第3項「事業者は特別教育を行わなければならない」
- 安衛法第61条第1項「事業者は技能講習修了者など有資格者でなければ業務に就かせてはならない」
この2つの条文が対象となり、違反者には6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。罰則は重たいです。
無免許での労災事故の責任は重い
過去にフォークリフトの無免許運転で発生した労災事故で、民事訴訟に発展した事例があります。
無免許運転させて事故を起こした会社が安全配慮義務違反と判断され、高額の損害賠償の支払いを命じられました。
フォークリフトは便利な乗り物ですが、使用する運転者や事業者には責任がともなうことを覚えておきましょう。
無免許運転は通報される
フォークリフトの無免許運転は事故が無くても違法であり、従業員からの通報で発覚するケースもあります。
また、無免許運転が発覚すると、事業者が労働安全衛生法違反で書類送検されることもあります。
フォークリフトの無免許運転は私有地でも違法
敷地内の工場や倉庫作業でも無免許は違法
会社の敷地内や私有地でフォークリフトを無免許で運転操作した場合も罰則の対象となります。
フォークリフト免許がないと、場所に関係なく運転自体ができません。
私有地だから免許は関係ないと誤解してしまう人が多いですが違法行為です。
無免許では練習もできない
無免許ではフォークリフトの操作ができないため、練習させることも違法行為に該当します。
免許取得時には初歩的なことから学ぶので、事前に練習する必要はありません。
免許を取得してから練習をし、実務を覚えましょう。
事業主のフォークリフトの資格で従業員は運転できない
事業主や会社の上司などがフォークリフト免許を持っていたとしても、免許を所持していない従業員が運転したら無免許運転になります。
運転する本人が資格を所持していることが必須です。
車の免許でフォークリフトの運転はできない
普通自動車免許でフォークリフトの運転作業はできません。
しかし、公道でフォークリフトを走行するだけで(荷役作業が無い)場合は、対応する自動車免許を所持していれば可能です。
フォークリフトの公道走行に必要な要件
フォークリフトで一般道を走行するためにはフォークリフト免許ではなく、自動車免許が必要です。
また、公道での荷役作業は禁止されています。実施には警察署長の許可が必要です。
必要な運転免許を取得
公道の走行にはフォークリフト免許のほかに、フォークリフト大きさに応じた自動車免許証が必要です。
自動車免許は小型特殊自動車免許・新小型特殊自動車免許・大型特殊自動車免許の3つになります。サイズを分類すると以下の表のとおりです。
小型特殊 | 新小型特殊 | 大型特殊 | |
---|---|---|---|
全長 | 4.7m以下 | 4.7m以下 | 12.0m以下 |
横幅 | 1.7m以下 | 1.7m以下 | 2.0m以下 |
高さ | 2.0m以下 | 2.8m以下 | 3.0m以下 |
最高速度 | 15km/h以下 | 15km/h以下 | 35km/h以下 |
ナンバーの取得
フォークリフトが小型特殊自動車か新小型特殊自動車に該当する場合は、市区町村の役所に申請しナンバープレートを取得します。
大型特殊自動車は、車検場での登録です。
ナンバープレートを取得すると自賠責保険の加入が必須になるので、覚えておきましょう。
公道での荷役作業は許可が必要
フォークリフトは道路交通法上、公道で荷役作業はできません。荷役作業をする場合は管轄する警察署長の許可が必要になります。
公道では荷物の積み下ろしはできますが、荷物を積載して走行はできません。
フォークリフトには最大積載量が設定されていないため、最大積載量が0の扱いになるからです。
フォークリフトで荷物を積載して公道を走行すると、過積載の違反行為となるので注意しましょう。
免許がいらないフォークリフトについて
免許がいらないフォークリフトは基本的にはありません。
手軽に利用できる1t未満の全自動リフターと呼ばれる製品にも特別教育が必要です。
自走式でマストが付いているタイプのフォークリフトには免許が必要になります。
しかし、フォークリフトと似たような性能をもつ別の製品であれば、免許不要で取り扱うことが可能です。
ハンドリフトは免許不要
手動で移動するマストがないハンドリフトには免許はいりません。
フォークリフトのように重い荷物を移動できるのですが、「手動である・マストが無い」という点で操作が大きく違います。
電気を利用しておらず、油圧で荷物の上下を行っています。耐荷重は1.5~2tに設定されているものが多いです。
ローリフトトラックも免許不要
電動ハンドリフトとも呼ばれているローリフトトラックは主にパレットに乗った荷物の移動を行う機器です。
ローリフトなので、床から少し持ち上げて移動することが可能です。
手動のハンドリフトと違う点は荷役操作に電気の力を利用している点です。ウォーキーリフトとの違いはマストの有無になります。
ウォーキーリフトにはマストが付いていますが、電動ハンドリフトにはマストが付いていません。
まとめ
フォークリフトは便利な機器ですが、その運転には必ず適切な資格が求められます。
無免許での運転は、敷地内であっても違法であり、罰則の対象となります。
従業員の安全を守るためにも、事業者はフォークリフト資格の取得を徹底し、管理を強化することが重要です。
必要な資格を取得することで、安全な作業環境を築き、安心してフォークリフトを活用していきましょう。
コメント
フォークリフトで公道を走る場合も普通自動車免許ではなく小型特殊自動車、または大型特殊自動車の免許とフォークリフト免許の両方が必要になります。
普通免許で小型特殊は公道走行できるでしょう。
こんばんは。
この記事は工場敷地内での無免許はダメとありますが、自宅敷地内での無免許運転の場合はどうなるのでしょうか??自分の家で無免許で乗っている人もいるでしょうに…
車の免許ではリフトは運転出来ないので農家だろうがダメでしょ